2023.02.14

第84回 自然がデザインした見事な形状〜フジ

今回はツル性植物のフジです。木などに巻き付いて育つのですが、大きいものは締め付けることで木の形状を変え、ひどい場合は枯らしてしまうことも。そんな林業的には嫌われ者のフジについて、販売事業部・吉田に聞きました。

―ずいぶん大きいですね。フジということですが…?

そうです。大きいですね。

―フジといえば、この前、フジに巻かれたコナラを紹介しましたが、今回はその巻く方が出てきました 笑

林業的には敵ですよ。木の成長を阻害して、幹を曲げたり、枯らしたりします。でも花が咲くし、一般的には好きな方が多いんじゃないですか。

―確かに。公園なんかに藤棚ありますし…

はい。

―山でもよく見かけますが、花が咲いてるのは見ないですね。

遠くから見ないと分からないんじゃないですか、花は樹冠の高い位置で咲いてるんですよ。山の中にいると見えない。

―なるほど。光が足りなくて暗いから、低い方では咲かない。

ですね。

―これはどこに生えてたんでしょう?

村内のあるお宅です。藤棚みたいに育てたようですが、もう引っ越して、きちんと育てられないからと…

―それにしてもすごい形ですね。この全体の広がり方。

自立できない植物ですから、自分を支えるためにあちこち巻き付いたんですね。

―見事なバランスです!

見事なバランスを取らないと倒れちゃうんでしょう。

―なるほど。隙間なく広がってます。

ですね。自然のものってそうなんですけど、デザインしたわけじゃないのに、されてるんですよね。

―確かに。自然のデザインと言いますね…。無駄なところがない。

無駄に見えて、全部意味がある。完全なわけですよ 笑

―このまま使えるといいですね。

壁に使いたい。壁面アート。

―樹皮は剥きますか?

剥かないと、多分、虫が入って腐っちゃう。水分多いですし…

―そうですか。

こちら、先っぽの樹皮を剥いたものです。

―黄色っぽいですね。

それにシワシワの絞りが出てます。

■素材データ
サイズ:全長:5000mm、高さ:2000mm、奥行き:1000mm
状態:未乾燥
種名:フジ
伐採時期:2022年12月
重量:10kg

(取材後記)
伐採した村のシルバー世代のおじさんに聞いたところ、あのフジ、全長10mくらいあったそうで、本文にあるように庭先に鉄骨を組んで、藤棚を作っていたのだとか。藤棚はおじいの若い頃からあり、もう半世紀は経つんじゃないかと話してくれました。花は毎年咲いてたそうです。

ちょっと起こしてみました。壁面アートのイメージになるでしょうか? (木田)

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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