2025/02/12
第128回 ヘンテコ素材が集まってくる!〜穴開きヒノキ編〜
でっかい穴。なかなか個性的なヒノキの丸太…。村内の製材所の社長が原木市場で見つけ「買っとくか」と入手してくれた一品です。販売事業部・吉田に聞きました。
―これ、何の木ですか?
ヒノキです。
―だいぶ大きいですね。
直径60cm。これで元玉ではないですから、相当ですよ。樹高も30m近くあったかなと思います。
―それはすごい。
樹齢も200年はいってますね。もしかしたら、神社の木だったのかもしれないです。
―そうなんですね。そして、この穴…!
はい、見ての通り、最大の特徴になっています。
―真ん中にポッカリ…
結構、でかいです。サイズ、測ってみましょうか…
直径は270mm、深さは1500mm。コンベックスが何かにぶつかって止まりましたが、もう少し続いてるようです。反対側にもその形跡がありますね。
―これはどちらが上だったんですか?
穴が大きく開いてる方が上だったんですよ。
―どういうふうにできたんですか?
おそらくですが、キツツキか何か動物が穴を開けたのが原因で、そこから雨水が入るなどして、腐りが下に広がっていったのかなと思います。
―前に別の現場から出たヒノキも同じ感じのがありましたね。
そうでした。でも、多いのは根元の芯から腐りが入っていくパターンなんですよ。
―結構、デコボコが多いですね。
傷がついたりしたんでしょう。それを治した痕ですね。製材すると面白い模様が出そうです。
―確かに。根株と同じでうねうねしたのが出そうですね。こういう大きく穴が開いた木は普通、どうなるんですか?
板を取ることができないので、価値がないと見られて売れないでしょうね。
―そうなんですか…。この木はどういう経緯で入手したんですか?
製材所の方から電話があったんですよ。原木市場の競りの日だったんですが、「穴が空いたヒノキが出てる。買っとくか?」と。
一旦、写真を見たいなとは思ったんですけど、雰囲気から、即「買います」と…
―なるほど。
それまでも何回かありましたけど、うちがヘンテコ素材を扱ってることを知っているので、ヘンなものがあると電話をかけてくれるんです。
―それは良い関係(笑)
ちょうどその頃、丸太をくり抜いて使いたいという問い合わせがあって、相談してたので「これだ」と思ったのかもしれないですね。
―先ほど、こういう木は普通は売れないと聞きましたが、市場で売れ残ったらどうなるんですか?
市場は丸太が持ち込まれたら余程のことがない限り、受け入れてくれるんです。そして、売り方を考えて並べてくれます。
―どんなふうにですか?
まとまった量を買いたい方が多いので、サイズ感や用途が同じものはなるべくまとめて、買いやすくしてるんです。そうすると、値も高くつきやすくなって、売る方にもいいんですよ。
―なるほど…
でも、いざ競りになったら、こうした木は「どう使うんだ」となって、まず買い手がつかない。それで最後はチップの業者さんが買っていくんです。
―なるほど。この木は大きいし、デコボコも面白いし、うまく活かせるといいですね。
■素材データ
サイズ:全長:4000mm、直径:600mm
樹種:ヒノキ
状態:未乾燥
伐採時期:2024年
(編集後記)
「チェンソーズなら必要でしょう」とヘンテコ素材が各所から集まってきます。今回のように製材所から、村のおじさんから、社内の現場からも…
正直、全部を回すことはできていないですが、木を中心に良い関係ができてるのかなと思います。ヘンテコ素材の市を開くと面白そう、という声も社内でチラホラ(木田)